思考再開

自分さえ良ければ社会から、助け合い・共存共栄社会へ

手に職をつけて生き残ろうと考えることの愚かさについて

手に職をつけたい」と考える人たちは増えています

「手に職をつけたい」と考える人たちは増えています。
将来への不安が大きい世の中です。今の時代、有名企業に就職したからといって、安泰というわけではありません。倒産しないという保証はありませんし、いつ自分がリストラ対象になるかもわかりません。そこで私たちは、いざというときのために、その会社でしか役に立たないスキルではなく、他の会社でも役に立つスキルを身につけておきたい、と考えるわけです。

「手に職をつけておけば、食いっぱぐれることがなくなる!」「手に職をつけておけば、仕事に困らなくなる!」と、そう考えるわけです。

私は「手に職をつける」という言葉が好きではありません

私は、この「手に職をつける」という言葉が、好きではありません。
誰だって将来のことが不安ですから、気持ちはよくわかるのですが、どうしても好きになれないのです。「手に職をつけておけば、食いっぱぐれることがなくなる!」「手に職をつけておけば、仕事に困らなくなる!」という考え方は、あまり前向きとは言えないからです。どうせなら「その仕事が好きだから、手に職をつけたい」「その仕事を通して社会の役に立ちたいから、手に職をつけたい」と考えたいものです。

あるいは「自分に向いている仕事が何なのかわからないので、とりあえずは、目の前の仕事に集中しよう!」くらいの気持ちで毎日を頑張っていたら、何年か経ったときに「気がついたら、いつの間にか、手に職がついていた!」というくらいで、ちょうどいいと思っています。

「将来が不安だから、手に職をつけておきたい」と考える人たちがたくさんいる社会は、不健全で、何かが間違っています。社会が発展すればするほど、私たちの生活は豊かになり、将来への不安がなくなっていくはずなのに、どうして誰も彼もが、より大きな不安を抱えることになっているのでしょうか?

「手に職をつける」ことよりも「誰にでもできる仕事化を進める」ことの方が重要です

「手に職をつける」という言葉は、強くたくましい言葉として使われてきました。しかし、これは世の中の発展を妨げる、古い考え方だと思います。これまではその考え方でよかったかもしれませんが、これからは考え方を改めるべきです。

社会や技術が発展すればするほど、多くの仕事は「誰にでもできる仕事」に変わっていきます。それでいいのです。それは当たり前のことなのです。逆に言えば「誰にでもできる仕事」が増えないようであれば、それは社会や技術が発展していないということでもあるので、非常に問題なのです。

私たちは自分が生き残るべく「手に職をつける」ことに必死になるのではなく、社会全体の富を増やすべく「誰にでもできる仕事化を進める」ことに専念すべきなのです。

資格を取ったからといって、資格を活かせるとは限りません

「やりたい仕事が見つからない。だからとりあえずは資格の取得でも目指してみようか?」というスタンスで頑張ってみるのは、いいことだと思います。資格の勉強をする過程で、その仕事のやりがいや面白さに気付くということもあるからです。あるいはその資格が、直接的に役に立つことはなくても、間接的に役に立つことはあるかもしれません。何をするにしても、まったくの無駄に終わるということはないはずです。

しかし、「将来が不安だから、今のうちに資格でも取っておかなければ!」という強迫観念に突き動かされて勉強を始めるというのであれば、それはもう「現代病」と言っても言い過ぎではありません。「資格がなければ生きていけない!」と「社会」に思い込まされているのです。

第一、資格を取得したからといって、その資格を活かせる仕事に就けるという保証は、どこにもありません。「時間とお金をたくさんかけて、苦労の末に資格を取得したというのに、まるで役に立たなかった……」という人たちもたくさんいるのです。「資格」があったとしても「経験」がなければ雇ってもらえないこともありますし、いざ資格を活かせる仕事に就くことができたとしても、想像以上に重労働で低賃金だったために、すぐに辞めることになるかもしれないのです。

「将来が不安だから資格でも取得しておきたい」と考えるくらいなら、いっそのこと「資格教材を販売する会社」を立ち上げればいいのです。「今のうちに資格を取っておかなければ、将来、困ったことになりますよ! 家族を路頭に迷わすことになってもいいのですか?」と不安を煽ってさえいれば、お客様に困ることはないので、食いっぱぐれることもありません。教材を購入してくれた人たちが、その資格を活かせる仕事に就けるかどうかなど、気にする必要はありません。教材を販売することだけを考えていれば、あなたの生活は守られるのですから。

「副業」にではなく、「目の前の(会社の)仕事」に集中できる世の中になってほしいものです

「会社なんて信用できない! いざとなったら、リストラでも何でも容赦なくやってのける! 今のうちに副業でもして、ビジネススキルを上げておかなければ!」
「会社に貢献すればするほど、例えば業務の効率化を進めれば進めるほど、安い賃金で扱われる可能性が高まり、リストラされる可能性さえも高まってしまう! だったら、副業の方にこそ真剣に取り組んだ方が、よっぽどメリットがあるじゃないか!」
そんなふうに考える人たちが増えています。
会社の仕事はそこそこに、副業ばかりに一生懸命になっている人たちです。本当に残念な話です。

だからといって、彼らが間違っているとは思いません。従業員たちから信用されていない会社の方が悪いのです。そしてそのような会社を生み出している「社会構造」にこそ問題があるのです。

縁があって、ひとつの会社に集まった人たちが、「会社組織の利益の最大化」とそれに伴った「各従業員への分配の最大化」を考えずに、自分が生き残ることばかりに必死になっています。私たちはいつまで、このような働き方・生き方を、続けるのでしょうか? 

自分の生き残りばかりを考えなくても、生きていける世の中になってほしいものです。安心して目の前の(会社の)仕事に集中することができて、会社組織の利益の最大化と各従業員への分配の最大化に取り組んでも、誰も不利益を被ることのない、誰も搾取されることのない世の中になってほしいものです。

副業をすることも、資格の勉強をすることも、決して悪いことではありません。けれども、副業や資格の勉強に打ち込む以前に、「会社ですべきこと」「会社でできること」「会社という組織だからこそ、できること」は、まだまだたくさんあるのです。

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