不安をあおった商売ばかりの現代社会
経営努力? それとも、悪徳商法?
「購買意欲をあおった商売」をすることは、必ずしも悪いことではありません。絶対に必要とは言えないモノやサービスであったとしても、暮らしを彩るのには役に立ちます。しかし、これが行き過ぎて、「不安をあおった商売」になってしまっては、困ったものです。
程度の差こそあるにせよ、世の中は、不安をあおった商売で溢れています。また、表面的には不安をあおっていなくても、潜在的に不安をあおっているものも多いです。
身のまわりは悪い菌でいっぱいですよ、この除菌グッズをお使いください……。
誰もがスマートフォンを持っていますよ、持っていなければ仲間外れにされますよ……。
医療保険に入っておかないと、いざ病気になったときに困ることになりますよ……。
大学くらい出ておかなければ生き残れませんよ、お子様はすぐにでも勉強を始めるべきです……。
いつ会社が倒産してもおかしくない時代ですよ、今のうちに資格を取っておきましょう……。
老後資金は○○○○円必要ですよ、今のままでは老後貧乏になってしまいますよ……。
どこからどこまでが「経営努力」で、どこからどこまでが「悪徳商法」なのか? 線引きするのは難しいです。ただ、どんな商売であったとしても、簡単に「一線を越えることができる」ということだけは、確かなようです。
彼らは親切そうな顔をしながら、近づいてきます。そして私たちの耳元で「あなたのことを思って、言っているのですよ」と囁きます。しかし、決して親切なわけではありません。私たちを不安にさせて、商品を売りつけようとしているだけなのです。
不安をあおった商売をするくらいなら、働かないで生活してくれた方がマシです
「不安をあおった商売」は、決して褒められたものではありません。しかし、だからといって、責めるわけにもいきません。「働かなければ生きていけない社会」だから、不安をあおってでも、商売をしなければならなくなっているからです。私たちは「社会構造」自体を見直すべきです。
「不安をあおった商売をするくらいなら、働かずに、ベーシックインカム(最低限所得保証制度)で生活してください」といった、そんな社会になってほしいものです。不安をあおった商売が、世の中をプラス方向に向かわせることなんて、ほとんどないのですから。
(※「ベーシックインカム」については、こちらを参照)
今の世の中、生活に必要なモノやサービスは、十分に足りています。私たちは、無理矢理に働かなくても、生きていけるのです。無理矢理に働こうとするから、世の中がおかしな方向に進んでしまっているのです。
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