思考再開

自分さえ良ければ社会から、助け合い・共存共栄社会へ

「業務効率化のジレンマ」がある限り、社会全体の利益は最大化されない

業務の効率化は悩ましい

仕事において、無駄をなくして、生産効率を上げることは、重要です。いつの時代であっても変わらない、当たり前のことです。しかし実行するのは、なかなかにして難しいものです。業務効率化のジレンマ」があるからです。

業務の効率化をしても賃金が上がるとは限りません

ある従業員は、業務改善に乗り出しました。
彼が携わっていた仕事は「彼にしかできない仕事」でしたが、これを「誰にでもできる仕事」にしました。さらに、8時間かかっていたところを、5時間でできるようにしました。十分過ぎるくらい会社に貢献しました。少しくらい給料やボーナスが上がってもよさそうなものです。しかし、その期待は簡単に裏切られることになるかもしれません。

給料やボーナスが上がるどころか、経営者からこんなことを言われるかもしれません。
「君は今回、業務改善によって、8時間の仕事を5時間に短縮したかのように思っているようだが、そうではない。君はこれまで、5時間でできる仕事を8時間かけてしていたにすぎないのだよ。さあ、短縮された3時間、何もしないわけにもいかないので、他の仕事を手伝いなさい」

あるいは、こんなことを言われるかもしれません。
「これまでは8時間働いてもらって8時間分の給料を支払ってきた。これからは5時間だけ働いてもらって5時間分の給料を支払うことにするよ」

さらに過酷な現実が待っているかもしれません。
「誰にでもできる仕事化」と「短時間労働化」を進めたわけですから、自分の仕事が他の人に奪われて、自分自身が失業してしまう可能性すら、高まってしまったのです。皮肉なことに、他でもない、会社のためと思って自らが行った「誰にでもできる仕事化」と「短時間労働化」によって、自分よりも若くて、自分よりも賃金の安い労働者たちに、自分の仕事を奪われることになるかもしれないのです。

業務の効率化をしようとした人が会社に居づらくなります

ある従業員は、自分を含めた全従業員のボーナスの底上げがしたいと思い、業務改善に乗り出しました。しかし、上司や同僚からの妨害にあい、うまくいきませんでした。

それもそのはず、上司や同僚からすれば、他の誰かが業務改善を進めることで、自分の仕事までもが「誰にでもできる仕事」にされてしまっては、たまったものではないからです。さらには、自分以外の誰かが「業務改善を成功させた従業員」として、高く評価されてしまうと、それに伴って、自分は「業務改善を怠ってきた従業員」として、低く評価されてしまうかもしれないのです。そういったこともあって、上司や同僚は、何が何でも自分以外の誰かによる業務改善を阻止しなければならないのです。

やがては、業務改善に前向きな人(会社に必要な人材)が会社に居づらくなって辞めていくことになります。そしていつまでも、業務改善に後向きな人たち(会社に必要ではない人材)が会社に居座り続けることになるのです。

業務効率化のジレンマとは?

私たちの多くは、失業への恐怖」「低賃金への恐怖」から、業務の効率化を進めることができずにいます。自分の仕事を守るために、あえて非効率的な働き方をしている人たちがたくさんいます。5時間でできる仕事を、あえて8時間かけてしている人たちがたくさんいます。自分の価値を保つために、自分の仕事を、あえて「誰にでもできる仕事」にせずに、「自分にしかできない仕事」のままにしているという人たちがたくさんいます。自分の身を守るために、自分がリストラの対象とならないために、業務改善に前向きな人の足を引っ張らざるをえないという人たちがたくさんいます。

以上のように、本来は業務の効率化を進めるべきなのに、進めることができない状態のことを、「業務効率化のジレンマ」と呼んでおきましょう。今の社会の問題点は「個々人が自分の身を守ろうとするあまり、会社組織の利益が最大化されず、ひいては、社会全体の利益が最大化されず、ゆえに個々人への分配も少なくなっている」ということなのです。

業務効率化のジレンマを克服するには?

「業務効率化のジレンマ」は、会社単位で克服できる問題ではありません。国全体で、働き方を見直さなければなりません。単刀直入に言ってしまうと、「働かなければ生きていけない社会」であることを受け入れている限り、このジレンマを解消することはできません。

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